参道を映す天井
石川県金沢市駅前に位置する安江八幡宮の参集殿を改修した。建物は長年の増改築を経て授与所を兼ねた参集殿として用いられてきたが、畳床の軋みや境内の大木の根の影響による床の歪みが顕著であった。また、現代の利用形態に即した椅子座への転換や、高齢者に負担となる大きな段差の解消も求められた。既存床を解体し、床レベルを下げて再構築しつつ、機能性を向上させる。
施主要望でもあった開放的な空間を目指して既存天井を解体してみたが、露出した小屋組は増改築の影響で見せられる状態ではなかった。そこで、構造を避けながらも、参道からの光や緑の景色を室内に取り込むため、二種類の天井形式を組み合わせた形状とした。ひとつは窓際の緑を反射して映し出す低く水平な天井、もうひとつは長手方向に沿って光を溜めて拡散するボールト形状の天井である。ボールト下には長大なベンチを設け、参道や緑を眺めながら祭事を待つことができる。スケールの大きなベンチは、大人数の待機や、お宮参りを待つ幼児を寝かせる場所としても機能する。
ボールトの根元に並ぶブラケット照明には、神社修復で取り替えられた柱材を再利用し、地元の桐工芸職人がシェードを制作した。参集殿は神社建築の中でも比較的敷居の低い場であることから、ボールト天井や古材照明といった新しい要素を取り入れつつ、神社の文脈を踏まえた設えとした。
祭事を待ちつつ、参道と拝殿を眺め、神社全体を俯瞰するような立ち位置の建物として設計した。
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